「ラブひな」における鉄道描写 北国旅情編

コミックス12巻の巻末に、北国旅情編の行程表が載っていますが、これは私の手元にある「JR時刻表2001年3月号」(弘済出版社)とぴったり一致しています。連載時期から考えて、作者も同じものを使っている可能性が高いと思われます。

 東京駅から山形新幹線で旅立つなる。ネームでは上野から青森行き急行に乗っているが、今時そんな列車はない。

 今回留守番のサラちゃん。この時点で既にはるかを母親と認めていることがわかる。

「つばさ111号」車内のなる、キツネ、むつみの三人。よく見ると座席がグリーン車、金持ってるなぁ。ところで景太郎は、驚くべきことに瀬田カーで新幹線に追いついている。いったい何キロで東北自動車道走ったんだ?

 蔵王で行方をくらませたなるは、翌日仙台から「Maxやまびこ31号」で盛岡へ向かう。オール二階建新幹線MaxにはE1系とE4系の2タイプが存在し、作中ではE1系が描かれているが、実際に31号に使われているのはE4系である。(E4系が東北、E1系が上越)

 すぅが「食堂車行こ」、カナコが「個室を取りました」といっているが、Maxには食堂車も個室寝台もない。もっとも気分が悪いと車掌にいえば、多目的室を使わせてもらえるが・・・

 盛岡から特急「はつかり13号」で北海道へ向かうなるとカナコ。しかし描かれている電車はボックスシート(4人で向かい合わせの座席)の古い急行型。資料なしではかけないほどリアルなのでかえって違和感が・・・

 青函トンネルの入り口まで「はつかり13号」を追跡した瀬田カーだが、フェリーに乗るには青森まで戻らねばならず、函館で追いつくことは不可能。おそらくパララケルス島で使用した潜水モードで津軽海峡を走ったのだろう。

 本編に描写はないが、なるは夜行快速「ミッドナイト」で札幌へ向かっている。この快速が臨時列車であること、稚内に桜が咲いていることを考えると、北国旅情編はゴールデンウィークの話と思われる。

 なるは札幌から特急「スーパー宗谷1号」で稚内へ向かったことになっているが。マンガに描かれているのは2000年まで使われていた急行用車両。どこで資料を間違えたんだ?

 なお私は12巻発売後に稚内へ行ったことがあるが、南稚内ー稚内間は市街地であり、海沿いに道路と併走するシーンはない。また稚内駅は寒気対策として駅舎の入り口をガラスで密閉しており、改札口まで車で乗り入れることは不可能である。

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